はじめに:共有された不満と、希望の兆し
もしあなたが「言われたことしかやらないSIer」と「もっともらしいことしか言わないコンサル」の両方にうんざりしているなら、あなただけではありません。多くの企業が、この二つの極端な選択肢の間で、長年ジレンマを抱えてきました。
片方には、従来のシステムインテグレーター(SIer)がいます。彼らは忠実で信頼できるかもしれませんが、しばしば指示待ちで、ビジネスの全体像を理解しようとはしません。彼らの仕事は、渡された仕様書通りにシステムを構築することであり、その仕様書がビジネスの成功にどう繋がるかは、管轄外でした。
もう片方には、戦略コンサルタントがいます。彼らは華麗なフレームワークを駆使し、経営層を唸らせる戦略を描きます。しかし、その提案はしばしば現場の実態からかけ離れた「机上の空論」であり、高額な報酬に見合わないことも少なくありません。そして、いざ実行の段階になると、その責任は現場に丸投げされ、彼らは次のクライアントへと去っていきます。
この長年の不満に終止符を打つかもしれない、巨大な地殻変動が今、日本のIT業界で起きています。NEC、富士通、NTTデータ、そして日立製作所という、日本を代表するテクノロジーの巨人たちが、過去の「御用聞き」モデルとの決別を宣言し、自らを新しいタイプの「コンサルタント」として再定義するために、莫大な投資を行っているのです。
本稿では、この歴史的な転換を徹底的に解剖します。これは、多くの企業が待ち望んでいた「真のパートナー」への本質的な進化なのでしょうか? それとも、古い製品に新しいマーケティングの包装紙を巻いただけの、見せかけの変革なのでしょうか?
第1章:一つの時代の終わり:なぜ「御用聞き」モデルは崩壊したのか
日本のIT業界を長らく支配してきた「御用聞き」モデル。なぜ今、そのビジネスモデルが急速に崩壊し、巨大企業たちを根底からの変革へと突き動かしているのでしょうか。その背景には、単なる景気の波ではない、構造的で不可逆的な変化があります。
「人月」という名の罠
従来のSIerのビジネスモデルの根幹にあったのは、「人月単価」という独特の収益構造です 1。これは、プロジェクトに投入するエンジニアの人数と期間(人月)に応じて売上が決まる仕組みです。このモデルでは、SIer側のインセンティブは「いかに効率的に課題を解決するか」ではなく、「いかに多くの人員を、いかに長くプロジェクトに投入するか」になりがちです。
クライアントのゴールが「ビジネス価値の向上」であるのに対し、SIerのゴールは「工数を増やすこと」になってしまう。この根本的なゴールの不一致は「構造的不幸」とも呼ばれ、両者の間に相互不信を生む温床となってきました。効率的なシステムを短期間で構築することは、SIerにとっては自らの売上を減らす行為に他ならなかったのです。
下請け構造という伝言ゲーム
さらに、この問題を深刻化させたのが「多重下請け構造」です。大手SIerが元請けとして案件を受注し、実際の開発業務は2次請け、3次請けの中小SIerへと丸投げされる。この構造は、業界の悪しき慣習として定着しました。
下請け、孫請けと階層が深くなるにつれて、クライアントの本来のビジネス課題や目的は伝言ゲームのように歪められ、失われていきます。末端のエンジニアは、なぜこの機能が必要なのかを理解しないまま、ただ目の前の仕様書をコードに変換するだけの作業に追われることになります。責任の所在は曖昧になり、顧客の顔が見えないシステム開発が常態化してしまったのです。
変化を強いた3つの地殻変動
この硬直した構造に、3つの巨大な波が押し寄せました。
- クラウド革命:Amazon Web Services (AWS) に代表されるクラウドサービスの台頭は、SIerの存在意義を根底から揺るがしました。これまでのように、企業が自前でサーバーを買い、SIerにオーダーメイドでシステムを開発してもらう必要がなくなったのです。月額料金で利用できるSaaS(Software as a Service)を使えば、より安く、より速く、高機能なシステムを導入できるようになりました。これにより、SIerの「作る」という仕事の需要そのものが減少していったのです。
- DXという最終通告:デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、企業がITに求める役割を根本的に変えました。もはやITは業務効率化のツールではなく、ビジネスモデルそのものを変革し、新たな価値を創造するための武器となりました。クライアントが求めるのは、単なる開発ベンダーではなく、事業課題を共に解決してくれるパートナーです。しかし、「御用聞き」に慣れきったSIerには、この新しい役割を担う能力もマインドセットもありませんでした。
- グローバル市場からの孤立:そもそも、日本のSIerという業態は、海外ではほとんど見られない、日本独自のガラパゴス的なビジネスモデルです。海外では、企業が自社内にエンジニアを抱え、事業部門と一体となってシステムを内製するのが一般的です。この内向きな構造が、日本のIT産業の国際競争力を削いできた一因とも言われています。
これらの変化は、SIerにとって単なるビジネスモデルの危機ではありませんでした。それは、自らの存在意義が問われる、アイデンティティの危機だったのです。日本のITインフラを支えてきた「ビルダー(建設者)」としての彼らの核となるアイデンティティが、時代遅れになりつつありました。彼らがコンサルティングへと舵を切ったのは、単なる戦略的な選択という以上に、変化した世界で自らの新たな存在価値を見出すための、必然的な生存戦略だったと言えるでしょう。彼らは「いかに作るか」の専門家から、「何を作るべきか、そして、なぜ作るのか」を語る存在へと、生まれ変わることを迫られたのです。
第2章:4大巨人のオールイン・ベット:それぞれの戦略を徹底比較
この業界全体の変革は、決して一枚岩ではありません。NEC、富士通、NTTデータ、日立という4つの巨人は、それぞれが持つ独自の強みと歴史を背景に、異なるアプローチでこの難題に挑んでいます。これは、彼らが未来を賭けた、壮大な実験なのです。
NEC:「実践者」として伴走する「End-to-End」モデル
NECの戦略の核は、「End-to-Endのサービス提供」という言葉に集約されます。これは、机上の戦略立案から、システムの実装、そしてその後の運用まで、すべてのフェーズで顧客に寄り添い、一気通貫で責任を持つという宣言です。
彼らの最大の強みは、自らがDXの「実践者」であることです。特に注目すべきは、2023年5月から国内グループ全社で展開している社内向け生成AIサービスです。この大規模な内製・導入で得た生々しいノウハウを基に、顧客企業へ生成AIを活用したDXサービスを提供しています。これは「我々も同じ苦労をしてきたからこそ、あなたの会社を成功に導ける」という、極めて説得力のあるメッセージです。
人材面では、2025年度までにコンサル人材を1000名体制へと拡充する計画を掲げています。その多くが、社内のIT・ネットワーク実装経験者をコンバートした人材である点が特徴的です。これにより、技術的な裏付けを持つ、地に足のついたコンサルティングが可能になります。さらに、グループ企業であるアビームコンサルティングとの連携により、純粋な戦略コンサルティングの知見も補完しています。データドリブン経営や顧客体験(CX)変革といった領域に注力し、技術と戦略の両輪で顧客を支援する体制を構築しています。
富士通:社会課題の解決を目指す、野心的な「国家建設」モデル
富士通のアプローチは、その圧倒的な規模と野心によって特徴づけられます。「Uvance Wayfinders」というコンサルティングブランドを立ち上げ、彼らが目指すのは、一企業の課題解決に留まらない、業界の垣根を越えた社会課題の解決です。
その本気度を最も象徴するのが、2025年度までにコンサルティングスキルを持つ人材を、現在の2000人から1万人へと5倍に増員するという驚異的な計画です。この壮大な目標を達成するため、富士通は3つの施策を同時に進めています。第一に、既存社員をコンサルタントへと転身させる大規模な「リスキリング」。第二に、外部から即戦力を獲得する積極的な「キャリア採用」。そして第三に、必要に応じて「M&A」も辞さないという強い意志です 2。
これは単なる人員増強ではありません。コンサルティング事業の品質を担保し、ガバナンスを効かせるための専門組織「Consulting CoE (Center of Excellence)」を設置し、独自の認定制度も導入しています 2。これは、単なる個人の寄せ集めではなく、一貫した品質と文化を持つプロフェッショナル集団を本気で創り上げようとする試みです。彼らの視線は、もはや個別のシステム案件ではなく、サステナビリティや新たな社会インフラの構築といった、より大きな物語に向けられています。
NTTデータ:「共創」を哲学とする「成果保証」モデル
NTTデータの変革は、より哲学的です。彼らは従来の「受託」モデルから、「共創(Co-creation)」モデルへの転換を強く打ち出しています。「提言・実装・成果」というスローガンは、その決意表明です。これは、単にシステムを作って納品するだけでなく、それがもたらすビジネス上の「成果」にまでコミットするという、顧客に対する新しい約束です。
この「共創」という言葉は、単なる美辞麗句ではありません。彼らは、顧客が新規事業を立ち上げるだけでなく、時には不採算事業から「撤退する」という厳しい意思決定をも共有できるパートナーでありたいと語ります。これは、従来のSIerと顧客の関係性を遥かに超えた、極めて高いレベルの戦略的パートナーシップを目指すものです。
この変革を内側からドライブするために、NTTデータは大胆な組織改革を断行しました。顧客のバリューチェーンに沿った機能別組織へと再編し、さらに、外部からの人材を積極的に登用することで、旧来の文化に「外の血」を入れ、変革を加速させています 3。グローバル事業の統合も進め、世界中の知見を結集して顧客の課題解決にあたる体制を強化しています。彼らが目指すのは、顧客と共に未来を構想し、その実現まで伴走する「社会変革プロデューサー」なのです。
日立製作所:製造業のDNAを武器にする「インダストリアル」モデル
日立製作所のコンサルティング事業は、100年以上にわたる製造業としての歴史と、社会インフラ領域における圧倒的な実績がその土台となっています。彼らのコンサルティングは、抽象的な経営理論ではなく、工場や発電所といったフィジカルな現場に深く根差しています。
その中核をなすのが、日立独自のIoTプラットフォーム「Lumada」です。Lumadaは、工場の生産ラインや社会インフラ設備を動かすOT(Operational Technology)と、データを分析・活用するIT(Information Technology)を繋ぐ架け橋となります。これにより、例えばスマートファクトリーの実現や、工場のカーボンニュートラル化計画の策定といった、具体的で tangible(目に見える)な価値創出を支援します。
日立のコンサルタントは、自社グループ内で実践してきた経営改革や、トヨタ自動車、アマダといったトップ企業との協業で蓄積した豊富なユースケース(成功事例)を武器にします。これは、顧客に対して「我々が実際に成功させたこの方法を、あなたの会社に合わせて最適化しましょう」と提案できることを意味し、ゼロベースで検討を始めるよりも遥かに効率的で、実現性の高い計画策定を可能にします。彼らの強みは、まさに重厚長大な産業の現場を知り尽くした、実践的な知見にあるのです。
4大巨人の変革戦略:早見表
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企業名 |
コンサル人材目標 |
主要ブランド/スローガン |
中核となる差別化戦略 |
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NEC |
1,000人(2025年) |
「End to Endサービス」 |
自社の生成AI活用経験とアビームとの連携 |
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富士通 |
10,000人(2025年) |
「Uvance Wayfinders」 |
圧倒的な規模拡大と社会課題解決への注力 |
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NTTデータ |
2,400人以上(現在) |
「共創型コンサルティング」 |
ビジネスの「成果」にコミットし、事業ポートフォリオ変革まで伴走 |
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日立製作所 |
約1,000人(過去目標) |
「Lumada」 |
製造業・社会インフラにおける深いドメイン知識とOT/IT融合 |
第3章:機械の中の幽霊:彼らは「コンサルタントの呪い」を避けられるか?
しかし、ここで多くの人が抱くであろう、最も根源的な疑問に触れなければなりません。「結局、名前が変わっただけで、中身は同じではないのか?」と。輝かしい戦略や壮大な人員計画も、もし組織の根底にある文化が変わらなければ、砂上の楼閣に過ぎません。彼らの前には、多くのコンサルティングファームが陥ってきた「呪い」とも言うべき、数々の落とし穴が待ち構えています。
誰もが知るコンサルタントへの批判(=呪い)
ユーザーが抱く不信感の正体は、これまで多くの企業が経験してきたコンサルタントへの共通の批判にあります。
- 「現場を知らない」という断絶:特に若手のコンサルタントは、その業界での実務経験がないまま、フレームワークや理論だけを振りかざしがちです。その結果生まれるのは、見た目は美しいが実行不可能な「机上の空論」です 4。現場の複雑さや人間関係を無視した計画は、必ず抵抗にあい、失敗します。
- 高コスト、低価値という疑念:コンサルタントに支払われる報酬は、しばしば月額数百万円にも上ります。しかし、その対価として提供されるのが、どこかで聞いたような一般論や、社内の人間でもできるような資料作成や議事録取りであった場合、クライアントが「価値に見合わない」と感じるのは当然です。
- インセンティブの不一致:クライアントの真のゴールは、課題を解決し、コンサルタントが不要になることです。しかし、コンサルタント側のインセンティブは、プロジェクトを延長したり、追加のサービスを販売(アップセル)したりすることにあるのではないか、という疑念は常につきまといます。
- 品質のばらつき(「ピンキリ」):同じコンサルティングファーム内でも、担当するコンサルタントの質や経験には大きなばらつきがあります。優秀なパートナーに当たることもあれば、経験の浅い担当者に振り回されることもある。これは、クライアントにとって一種のギャンブルです。
これらの「呪い」は、SIerから転身する彼らにとっても、決して他人事ではありません。
克服すべき最大の敵:「文化」という名の重力
これらの変革が直面する最大の脅威は、アクセンチュアやデロイトといった競合ではありません。それは、自社の内部に深く根を張る、旧来の「企業文化」です。
何十年にもわたって培われてきたSIerの文化、すなわち「御用聞き」の思考様式は、非常に強力な重力のように組織全体を引っぱっています。リスクを避け、詳細な指示を待ち、革新よりも安定を優先する。このマインドセットは、システムの安定稼働を保証するためには不可欠なものでした。しかし、それは自ら問いを立て、仮説を構築し、時には顧客の言うことを覆してでも本質的な提案をしなければならないコンサルタントの思考様式とは、正反対のものです。
例えば、富士通が掲げる1万人のコンサルタント育成計画。これは、単なる採用や研修の課題ではありません。1万人の意識を根本から変革するという、途方もない規模の「文化変革プロジェクト」なのです。エンジニアにコンサルティングの研修を受けさせ、「コンサルタント」という新しい肩書を与えたとしても、組織の評価制度や仕事の進め方が旧態依然のままであれば、彼らはすぐに元の「指示待ち」の姿勢に戻ってしまうでしょう。
この「文化という名の重力」に打ち勝てなければ、生まれるのは真のコンサルタント集団ではなく、スーツを着たエンジニア、すなわち「高価な御用聞き」の集団になってしまう危険性があるのです。この変革の成否は、技術力や資金力以上に、この内部の敵との戦いにかかっています。
第4章:SIerだからこその強み:「実装第一主義」コンサルタントの誕生
しかし、悲観的な側面ばかりではありません。もし彼らが文化の変革に成功したならば、従来のコンサルタントには決して真似のできない、ユニークで強力な価値を提供できる可能性を秘めています。それは、彼らがSIerであるという出自そのものに由来する強みです。
「実行力」という絶対的な価値
彼らが持つ最大の武器は、戦略を現実に落とし込む「実行力」です。彼らは、ただPowerPointで美しいスライドを作るだけではありません。そのスライドの裏側にある、複雑なシステムアーキテクチャ、データ連携の難しさ、そしてレガシーシステムとの格闘といった、泥臭い現実を誰よりも深く理解しています。何十年にもわたり、顧客の基幹システムを構築し、保守し、支え続けてきた経験は、伊達ではありません。
この「実行力」は、戦略提案の質を根本的に変えます。彼らの提案は、最初から技術的な実現可能性が織り込まれており、「机上の空論」に陥るリスクが極めて低いのです。彼らが語る戦略には、常に「そして、我々にはそれを作る技術とノウハウがある」という、暗黙の、しかし絶大な説得力が伴います。
長年の関係性が生む深い顧客理解
短期的なプロジェクトで関わるコンサルタントと異なり、多くのSIerは、何年、時には何十年にもわたって同じクライアントと付き合ってきました。彼らは、その企業のレガシーシステムの構造だけでなく、社内の力学、部門間の対立、そして公式の会議では決して語られることのない「暗黙のルール」までをも肌で知っています。この深い顧客理解は、外部のコンサルタントが数ヶ月のヒアリングで得られるレベルを遥かに超えており、より現実に即した、効果的な変革プランを策定するための貴重な資産となります。
新しい「Win-Win」の形
この新しいモデルは、真のパートナーシップを築く大きな可能性を秘めています。なぜなら、彼らは戦略の「提言」だけでなく、その後の「実装」、そして最終的なビジネス上の「成果」まで、一貫して責任を負うからです。
これは、従来のコンサルティング業界における責任の分断を乗り越えるものです。これまでのモデルでは、戦略コンサルタントは「良いアイデア」を提案する責任は負いますが、その実行が失敗しても、「実行部隊の能力が低かった」と言い逃れることができました。しかし、SIer発のコンサルティングファームでは、戦略の立案者と実行者が同じ組織に属します。戦略の失敗は、そのまま自社の実装部隊の失敗に直結するため、言い訳は通用しません。この強固なアカウンタビリティ(結果責任)こそが、顧客との間に本物の信頼関係を築く土台となるのです。
この動きは、単にSIerがコンサルティング市場に参入するという話に留まらないかもしれません。彼らは、「コンサルティングの価値」そのものを再定義する可能性を秘めています。戦略と実装を不可分なものとして提供することで、コンサルティングの価値基準を「優れたアイデア」から「実現された成果」へとシフトさせる力を持っているのです。もし多くの顧客がこの一気通貫で成果志向のモデルを支持するようになれば、業界全体が、単なるアドバイス提供から、より成果にコミットするビジネスモデルへと移行を迫られることになるかもしれません。
結論:パートナーシップの未来に向けた、慎重ながらも確かな楽観
NEC、富士通、NTTデータ、日立。日本のテクノロジーを牽引してきた巨人たちの、コンサルティングへの転換は、単なる流行り廃りではありません。それは、クラウドとDXの波によって引き起こされた、生き残りをかけた必然の変革です。彼らが投じる資金、人材、そして情熱は本物であり、その動きは強力で、信憑性の高いものです。
しかし、その成否を分ける最大の鍵は、彼らの内なる敵、すなわち「企業文化」との戦いです。戦略家の持つ、未来を見通し、積極的に問いを立てるマインドセットと、エンジニアの持つ、現実を見据え、着実に手を動かすDNA。この二つを、一つの組織の中で見事に融合させることができるのか。それとも、古い文化が新しい才能を拒絶し、変革の芽を摘んでしまうのか。
最終的な評決が下されるのは、まだ先のことです。しかし、もし彼らがこの壮大な自己変革を成し遂げたならば、彼らは自らを救うだけでなく、多くの企業が待ち望んでいた新しいカテゴリーのビジネスパートナーを創造することになります。それは、戦略家のビジョンと、建設者の腕を併せ持つ、真のパートナーです。その道のりは険しいでしょうが、日本のビジネスシーンに、久しぶりに現れた希望の兆しとして、我々はその挑戦を注意深く、そして期待を込めて見守るべきでしょう。
Q: なぜNEC、富士通などの大手SIerは、こぞってコンサルティング事業に力を入れているのですか?
A: クラウドサービスの普及で従来のシステム開発事業だけでは成長が難しくなったためです。顧客が単なる開発会社ではなく、ビジネス課題を根本から解決してくれる「真のパートナー」を求めるようになったことが最大の理由です。
Q: SIerがコンサルに転換する上での一番の強みは何ですか?
A: 「実行力」です。長年のシステム開発経験で培った深い技術知識と実装能力があるため、絵に描いた餅で終わらない、実現可能性の高い具体的な戦略を提案できる点が最大の強みです。
Q: 逆に、一番の課題やリスクは何ですか?
A: 長年染みついた「御用聞き」の文化を変えることです。指示待ちではなく、自ら課題を発見し、顧客に積極的に提案するコンサルタントとしての思考様式を組織全体に根付かせることが最大の挑戦です。
Q: 富士通がコンサル人材を1万人に増やすというのは本当ですか?
A: はい、本当です。2025年度までに現在の2000人から1万人体制へと大幅に増員する計画を発表しています。社員のリスキリング(学び直し)や積極的なキャリア採用を通じて、本気でコンサルティング事業への転換を目指しています。
Q: NTTデータの「共創型コンサルティング」とはどういう意味ですか?
A: 従来の「言われたものを作る」受託モデルから脱却し、顧客の経営課題の発見から事業の企画、実装、そして最終的な「成果」までを顧客と一体となって創り上げていく、という新しいパートナーシップの形を指します。
Q: 日立のコンサルティングは他社と何が違いますか?
A: 製造業や社会インフラといった、日立が長年培ってきた事業領域での深い知見と実績が基盤になっている点です。『Lumada』というIoTプラットフォームを活用し、現場のデータを活かした具体的な改善提案を得意としています。
Q: NECのコンサルティングの特徴は何ですか?
A: 自社で生成AIを導入・活用した経験を基にしたコンサルティングなど、自らが実践してきた知見を提供できる「End to End」のサービスが特徴です。戦略立案から実装、運用まで一気通貫で支援することを目指しています。
Q: これまでのコンサルタントへの不満は、これらの新しいコンサルタントによって解消されそうですか?
A: その可能性は十分にあります。「現場を知らない」「理論ばかり」といった従来のコンサルタントへの批判に対し、SIer出身のコンサルタントは技術的な裏付けと実装経験を持っているため、より現実的で効果的な解決策を期待できます。
Q: この変革は、私たち顧客にとってどのようなメリットがありますか?
A: 課題解決の選択肢が増えることが最大のメリットです。戦略だけ、開発だけ、ではなく、「戦略から実行まで一貫して責任を持つパートナー」を選ぶことができるようになります。これにより、プロジェクトの成功確率が高まることが期待されます。
Q: 結局のところ、この大手SIerの挑戦は成功すると思いますか?
A: 成功の鍵は、技術や資金力よりも「企業文化の変革」にかかっています。もし彼らが本当に「御用聞き」の文化から脱却できれば、顧客にとって非常に価値のある、新しいタイプのパートナーが誕生するでしょう。その可能性は高く、注目に値します。
引用文献
- SIerのビジネスモデルにおける4つの問題点と、今後の見通し ..., 9月 20, 2025にアクセス、 https://for-professional.jp/media/engineer/programmer/article/engineer-sier-problem/
- 富士通、2025年度までにコンサル人材を現状の2000人から1万人へ ..., 9月 20, 2025にアクセス、 https://it.impress.co.jp/articles/-/25985
- 「共創型コンサルティング」の新実装。NTTデータの変革の「現在地 ..., 9月 20, 2025にアクセス、 https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2025/0306/
- コンサルタントが「現場を知らない」と言われる理由|業界で活躍 ..., 9月 20, 2025にアクセス、 https://insight.axc.ne.jp/article/careernavi/498/