こちらは政治ブログでなく、東京都民ではなく、数回YouTubeをみていたから存在はうっすら知っていたもののニュースを見て選挙に出馬してたんだ、と初めて知ったくらいだから、特定の政治家、政策についてはノータッチ。
「ネットの影響力が驚くほど大きくなった」 ということが言いたい記事。

ネット時代の政治革命:東京都議選に見るデジタル政治参加の新潮流と既存政党への警鐘
YouTuber出身の公認会計士が既存政党を打ち破る快挙
2025年6月22日の東京都議会議員選挙で、千代田区選挙区において無所属の佐藤沙織里氏(35歳)が初当選を果たしました12。この結果は、政治系YouTuberとして約37万人の登録者を持つ同氏が、自民党と都民ファーストの会の現職候補を破って実現したものです4。
佐藤氏は公認会計士・税理士の資格を持ちながら、YouTubeで「減税」を主要テーマとした政治コンテンツを配信し、デジタルネイティブ世代を中心とした幅広い支持を獲得しました45。告示日直前まで立候補予定がなかったにも関わらず、わずか数日の選挙戦で7,232票を獲得し、現職らを上回る結果を残しました2。
SNSが選挙結果を左右する新時代の到来
デジタル政治参加の爆発的な広がり
現在の日本では、政治情報の収集手段が根本的に変化しています67。NHKの調査によると、政治や選挙に関する情報をSNSで収集する有権者は29%に達し、特にYouTube(64%)、X(旧Twitter)(48%)が主要な情報源となっています8。
佐藤氏の選挙戦では、従来の選挙カーに代わって自転車街宣を実施し、その様子をリアルタイムでSNSに配信する戦略を採用しました4。
全国規模のボランティアネットワーク形成
最も注目すべきは、SNSを通じて全国から約200人のボランティアが集結したことです5。北海道、岩手、埼玉、千葉、愛知など遠方からも支援者が駆けつけ、ビジネスコミュニケーションアプリ「Slack」を使って効率的な選挙活動を展開しました5。この現象は、地縁・血縁に依存しない新しい政治参加の形態を示しています。
情報格差が生む政治的影響力の変化
世代間の情報収集パターンの違い
若者世代と高齢者世代では、政治情報の収集手段に明確な差が存在します69。総務省の調査によると、13~59歳の90%以上がインターネットを利用する一方、60代の利用率は76.6%にとどまっています10。
従来、高齢者層はテレビや新聞を主要な情報源としてきましたが、定年退職後にワイドショーやSNSに触れる機会が増え、新たな政治的意見形成のルートが生まれています9。しかし、SNS、テレビ、新聞、雑誌ともにデマやフェイクニュースに対する免疫が低いため、誤情報に影響されるリスクも高まっています910。
デジタルデバイドの政治的影響
情報技術の活用能力の差(デジタルデバイド)が、政治参加における新たな格差を生み出しています1112
SNSを積極的に活用する層では、従来の政治エリートに対する不信感が強く、既存政党への支持が低下する傾向が見られます7。この現象は、政治系YouTuberの影響力拡大と密接に関連しています。
既存政党が直面する戦略転換の必要性
従来型選挙戦略の限界
2025年都議選では、都民ファーストの会が32議席で第1党に返り咲いた一方、自民党は22議席と過去最低を記録しました14この結果は、従来の「地盤・かばん・看板」に依存した選挙戦略の限界を示しています7。
佐藤氏の勝利は、既存の政治資源を持たない候補者でも、デジタル戦略とコンテンツ力があれば勝利可能であることを証明しました45。政治系YouTuberの中には月収80万円を稼ぐ者もおり、選挙活動において経済的にも自立可能な状況が生まれています13
既存政党は、デジタル戦略の強化と同時に、健全な政治議論の維持という両面での対応が求められています。
民主主義の質的変化への対応策
情報リテラシー教育の重要性
「情弱」とみなされることへの不安が、政治参加の動機となる時代が到来しています15。若者を中心に、SNSで政治に関心を持つ人が増加している一方、情報の真偽を見極める能力の向上が急務となっています615。
大学生らのパネルディスカッションでは、SNSのメリットとして手軽な情報収集が挙げられる一方、正確性に課題があるため、新聞やテレビなど他のメディアとの比較が必要との意見が出されています15。
政党の戦略的転換点
すべての政党が本格的にデジタル戦略に注力する必要に迫られています67。単なるSNSアカウント開設ではなく、コンテンツ制作力、リアルタイム配信能力、オンラインコミュニティ運営力の向上が求められます。
同時に、フィルターバブルやエコーチェンバー現象による政治的分極化を防ぐための仕組み作りも重要です7。多様な意見との接触機会を確保し、建設的な政治議論を促進する環境整備が民主主義の質的向上につながります。
佐藤さおり氏の当選は、日本の政治におけるデジタル革命の象徴的な出来事として位置づけられます。この変化に適応できない政党や政治家は、今後さらに厳しい状況に追い込まれる可能性が高く、情報化時代に対応した新しい政治参加の形態を理解し、活用することが政治的生存の条件となったといえるでしょう。