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【衝撃の13分】第二次大戦の難攻不落ドイツ軍「エニグマ」暗号、現代AIであっさり解読される驚きの理由

 

第二次世界大戦中、連合国軍を長期間悩ませ続けたドイツ軍の暗号機「エニグマ」。天才数学者アラン・チューリングをはじめとする英国の暗号解読チームが何年もの歳月をかけて解読に挑んだこの「難攻不落」の暗号装置を、現代のAIはわずか13分で解読したという衝撃的な事実をご存知でしょうか?当時は不可能と思われた暗号解読の難題が、現代技術によってあっさりと攻略される驚きの理由と仕組みを詳しく解説します。

エニグマとは?第二次世界大戦を左右した暗号機の全貌

エニグマ(Enigma)とは、1918年にドイツ人技術者アルトゥール・シェルビウスによって発明された暗号機です。当初は商業用として開発されましたが、その後ドイツ軍に採用され、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの軍事通信に広く使用されました4

エニグマの基本構造と仕組み

エニグマ暗号機は、一見するとタイプライターのような外観をしていますが、内部には複雑な暗号化メカニズムが組み込まれています。

主な構成部品:

  • ローター(回転子):通常3~5個の暗号円盤

  • リフレクター(反射板):信号を反射させる装置

  • プラグボード:追加の暗号化レイヤーを提供

  • キーボードと表示盤:入力と暗号化された結果の表示45

エニグマの天才的な点は、キーを打つたびにローターが回転することで暗号パターンが常に変化する仕組みにありました。つまり、同じ文字を連続して打っても、毎回異なる暗号文字に変換されるのです5

この複雑さにより、総当たり(ブルートフォース)攻撃が事実上不可能となり、当時としては「解読不能」と考えられていました5

エニグマ暗号の難解さ:驚異的な組み合わせ数

エニグマが「解読不能」と考えられた最大の理由は、その膨大な組み合わせ数にあります。基本的なエニグマモデルでも、設定の組み合わせ総数は約10²⁶(100,000,000,000,000,000,000,000,000)もの天文学的数字に達していました。

エニグマ暗号の組み合わせ数内訳

  • 3つのローターの初期位置:26³ = 17,576通り

  • ローター選択(5つから3つを選ぶ):60通り

  • ローターの配置順序:6通り

  • プラグボード設定:約150,000,000,000,000通り12

この膨大な組み合わせ数を持つ暗号システムは、コンピュータがない時代において、人力での総当たり解読は完全に不可能な領域でした。

さらに安全性を高めるため、ドイツ軍は毎日暗号設定を変更していました。これにより連合国は、たとえ前日の設定を解読できたとしても、翌日にはまた一からやり直す必要があったのです。

エニグマの特殊な設計

エニグマのもう一つの画期的な点は、暗号化と復号が「同じマシン」「同じ設定」「同じ操作」で行える点です。受信者もエニグマを同じ初期設定にして暗号文を打ち込むことで平文を得ることができるという、非常に実用的な設計でした7

これはリフレクターという部品が信号を変換・跳ね返して再度ローターに通す役割を持っていたからこそ可能になった機能です7

 
 
第二次大戦のエニグマ暗号機と現代のAI技術の対比
第二次大戦のエニグマ暗号機と現代のAI技術の対比openai

エニグマ解読の歴史:チューリングと暗号解読者たちの挑戦

エニグマ暗号の解読は、最初にポーランドの数学者たちによって始められました。マリアン・レイェフスキ、ヘンリク・ジガルスキ、イェジー・ロジツキの三人は1932年に基本的なエニグマ暗号の解読に初めて成功しました6

しかし、戦争が始まるとドイツはエニグマをさらに複雑にしたため、ポーランド人数学者たちは自分たちの研究成果をイギリスに引き継ぎました11

ブレッチリー・パークと「ウルトラ」計画

イギリスでは、ブレッチリー・パークに設立された政府暗号学校(GC&CS)が暗号解読作業を担当。ここで活躍したのが、コンピュータ科学の父と呼ばれるアラン・チューリングです10

当時ブレッチリー・パークでは、なんと9000人もの人員が24時間シフトで暗号解読に取り組んでいました9。チューリングが開発した「ボンベ(Bombe)」という機械的解読装置と「既知平文攻撃」という方法を用いて、エニグマ暗号の解読に成功しました8

既知平文攻撃とは、「天気予報」や「Heil Hitler(ハイル・ヒトラー)」など、同じフレーズが頻繁に含まれることを利用した解読方法でした8

この暗号解読作業は「ウルトラ(Ultra)」という極秘計画として進められ、解読された情報は連合国の戦略立案に大きく貢献。歴史家の間では、この暗号解読によって第二次世界大戦が2年以上短縮されたと評価されています1011

現代AIの暗号解読能力:13分でエニグマを解く

時代は移り、現在の高度なコンピュータとAI技術が発達した世界では、かつての「解読不能」な暗号も容易に破られるようになりました。

オックスフォード大学のAI専門家マイケル・ウールドリッジ教授によれば、「エニグマは現代のコンピューティングと統計学の前には全く歯が立たない」とのこと13

AIによるエニグマ暗号解読の実例

実際に、グリム童話で学習させたAIシステムと2000台の仮想サーバーを使用した研究では、エニグマ暗号をわずか13分で解読することに成功しています131415

これは、当時チューリングらが何年もかけて成し遂げた偉業を、現代のAIがわずか数分で達成できることを意味します。もしチューリングが現代のAI技術を手にしていたら、エニグマ解読はどれほど早く実現していたでしょうか。

現代AIはどのようにしてエニグマを解読するのか?

現代のAIがエニグマ暗号を短時間で解読できる理由は、以下の技術的優位性にあります:

  1. パターン認識:AIの最大の強みである大量データからのパターン認識能力

  2. 並列処理:膨大な計算を同時に処理できる能力

  3. 機械学習アルゴリズム

    • RNN(リカレントニューラルネットワーク)

    • Transformer

    • 遺伝的アルゴリズム12

AIはエニグマの弱点、例えば「同じ文字には暗号化されない」という特性を利用して効率的に解読方法を見つけ出します13。さらに、現代のAIは統計学的なアプローチで暗号パターンを分析し、チューリングが人力で行っていた「既知平文攻撃」を自動化・高速化できるのです15

AIの暗号解読能力がもたらす現代社会への影響

現代AIがわずか13分でエニグマを解読できるという事実は、現代の暗号技術にとって何を意味するのでしょうか?

現代暗号の進化

現代の暗号は、エニグマの時代と比べて格段に複雑化しています。RSA暗号や楕円曲線暗号などの現代暗号は、膨大な素因数分解や離散対数問題の難しさを利用しており、現状では最新のAIをもってしても容易に解読することはできません。

量子コンピューティングとAIの脅威

しかし、量子コンピュータの発展は現代暗号にとって大きな脅威となっています。特にショアのアルゴリズムを用いた量子コンピュータは、RSA暗号などの現行暗号を効率的に解読できる可能性があります315

そのため、量子コンピュータでも解読が困難とされる「耐量子暗号」の研究が急速に進んでいます。

AIと暗号の攻防

AIは暗号解読だけでなく、新しい暗号方式の開発にも活用されています3。AIを用いて従来の暗号方式の脆弱性を発見し、より強固な暗号を設計する取り組みが進んでいるのです1

現代では「AIによる暗号解読」と「AIによる暗号強化」の攻防が続いており、サイバーセキュリティの世界はこれまで以上に複雑化しています。

まとめ:エニグマからAIの時代へ

第二次世界大戦中、最高の数学者たちが何年もかけて解読したエニグマ暗号を、現代のAIはわずか13分で解読してしまう。この事実は、技術の進化がいかに急速であるかを如実に物語っています15

チューリングらが開発した暗号解読技術は、現代のコンピュータ科学やAIの基礎となりました。彼らが最初の一歩を踏み出したからこそ、今日の高度なAI技術があるとも言えるでしょう610

暗号技術とAIの関係は、常に「守る技術」と「破る技術」の競争です。エニグマが破られたように、現代の暗号も将来的には新技術によって解読される可能性があります。

しかし、その競争こそが技術を進化させ、より安全な情報社会を築く原動力となっているのです。かつての「解読不能」な暗号が現代技術によって簡単に解読される様子は、技術の進化を実感させると同時に、情報セキュリティの重要性を再認識させてくれます3

AIと暗号技術の共進化は、これからも続いていくでしょう。そして私たちはその過程で、より安全で信頼性の高い通信技術を手に入れることができるのです。

Citations:

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  4. https://insights2techinfo.com/ai-in-cryptography/
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  6. https://qiita.com/opengl-8080/items/995778d1cce43ed5babc
  7. https://acompany.tech/privacytechlab/people-alan-turing/
  8. https://vigne-cla.com/a002/
  9. https://cryptography20250305.com/enigma-decipher-history/
  10. https://ameblo.jp/eikokuiju/entry-12894915512.html
  11. https://www.cia.gov/stories/story/the-enigma-of-alan-turing/
  12. https://www.britannica.com/summary/Ultra-Allied-intelligence-project
  13. https://qiita.com/kenmaro/items/1504f3ea0b370c4c6632
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