社内SEゆうきの徒然日記

社内SE歴20年以上の経験からIT全般についてつぶやきます

ゼロトラストセキュリティとVPNの関係性:MITM攻撃リスクから考える現実的な対策

この話題、過去数回記事に書いているけど、「脱VPN]と叫ぶ専門家や専門誌」がどんどん増えている.

MITM攻撃リスクにみんな気づいていない。

MITM攻撃に対抗する有効な手段はVPN。

VPNルーター機器の管理を怠っている場所をついたサイバー攻撃が多いのは事実

じゃあ、VPNルーターなくせばいい! という発想は安直。

セキュリティは縦割りで狭い範囲だけみるのではなく、広い目で俯瞰してどうなのか考えないと。。。

木を見て森を見ず・・・

 

この風潮への警告の意味も込めて

脱VPN at DuckDuckGo

 

k5963k.hateblo.jp

 

ゼロトラストセキュリティとVPNの関係性:MITM攻撃リスクから考える現実的な対策

ゼロトラストセキュリティは「全てのアクセスを信頼せず、常に検証する」という概念で、社内ネットワーク内でも安全を前提としない点が核心です16。一方、脱VPNの動きが加速する中で、VPN廃止による中間者攻撃(MITM)リスクへの懸念は技術的に正当です。本記事では、検証可能な事実に基づき、VPNの役割とゼロトラスト実装のバランスを考察します。

MITM攻撃の現実的リスクとVPNの防御機能

MITM攻撃は通信経路に攻撃者が割り込み、データ盗聴や改ざんを行う手法で、公共Wi-Fiや暗号化不足のネットワークで頻発します34。VPNはこの脅威に対し、エンドツーエンド暗号化によって強力な防御層を提供します810。具体的には:

  • VPNトンネリングはデータを暗号化し、MITM攻撃者が傍受しても解読を困難にする810

  • HTTPSとの組み合わせで、パケットスニッフィングを妨害する二重保護を実現8
    しかし、VPNの保護は「出口サーバー以降」では無力化され、暗号化プロトコルの脆弱性(例:古いPPTP)が残る課題もあります810

脱VPN推進の背景とその根拠

脱VPNが主張される主因は、VPN固有の以下の脆弱性にあります:

  1. 機器のメンテナンス不足

    • 2019年以降、複数VPN機器で深刻な脆弱性が報告され、修正プログラム未適用の機器が攻撃対象となる910

    • 旧型機器のファームウェア更新怠りによる事故が多発9

  2. セキュリティの限界

      • VPN接続後は内部ネットワークを「信頼」するため、侵入時の被害拡大リスクが高い7

    • 大容量通信時の不安定性や設定ミスによるデータ漏洩リスク910

  3. ゼロトラストとの整合性

    • ゼロトラストは「継続的検証」を原則とし、VPNの「接続後は信頼」モデルと根本的に矛盾67

理想的なアプローチ:ゼロトラストとVPNの併用

「脱VPNか維持か」という二項対立ではなく、両者の補完的活用が現実解です:

  • VPNの強化ポイント

      • AES-256暗号化や多要素認証(MFA)の導入でMITM耐性を向上107

    • ファームウェア更新の厳格化で既知の脆弱性を排除910

  • ゼロトラストの統合

    • VPN接続後も、ユーザー認証(IDaaS)や端末監視(EDR)で継続的検証を実施26

    • 最小特権の原則(Least Privilege)で、アクセス権限を必要最小限に制限15
      この併用により、MITM攻撃への防御を維持しつつ、内部脅威にも対応可能です79

日本のセキュリティ議論への問題提起

ユーザーが指摘する「検証なき議論」は的を射ています:

  • 人材・意識の不足

    • 国内企業の31.1%のみが専任CSIRTを設置し、セキュリティ人材不足が対策を遅延1112

    • 経済産業省の調査では、約9割の企業がセキュリティ人材不足を課題と認める12

  • 脱VPNの安易な推進リスク

    • VPN廃止でMITMリスクが増大するにも関わらず、代替策(例:SDP)の検証が不十分9

    • 特定ベンダーの主張を無批判に受容する傾向が、技術的深掘りを阻害1312

 

非ITの一般企業ならまだしも、天下のGoogleでさえも、この問題に気づかないとはなんとも。開発には優秀なエンジニア多そうだけど、セキュリティエンジニアは・・・。

そして多数の外部のエンジニアは、Googleがいうなら間違いない と疑問に思わずそのまま受け入れる姿勢もなんとも。

xtech.nikkei.com

結論:バランスある現実解の追求

ゼロトラスト移行は不可逆的な流れですが、VPNの防御機能を軽視すべきではありません。管理されたVPN環境の維持ゼロトラスト原則の適用を両立させるハイブリッドモデルが最適です。日本のセキュリティコミュニティには、技術的検証を深め、特定の主張に盲従しない批判的議論が求められます1312。セキュリティ対策は「トレンド」ではなく「実リスクの分析」に基づくべきであり、MITM攻撃のような古典的脅威への対策を疎かにしてはなりません。

最終更新日:2025年6月20日 JST
ソース:経済産業省資料1311、セキュリティ専門家の分析

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