【2025年最新】リモートワーク廃止の裏に隠された「巧妙なリストラ戦略」とは?経営者の本音を徹底解剖
コロナ禍で急速に普及したリモートワーク制度が、今まさに転換点を迎えています。2023年以降、海外のGAFAM企業を筆頭に「出社回帰」の動きが加速し、日本企業でも同様のトレンドが見られるようになりました1。しかし、この動きの背景には、単なる業務効率化以上の「戦略的な意図」が隠されている可能性があります。本記事では、リモートワーク廃止の真の狙いと、それが労働者に与える影響について詳しく分析していきます。
急速に進むリモートワーク廃止の現状
海外企業の動向:GAFAMが先陣を切る
2025年1月現在、世界的なIT企業が次々とオフィス勤務への回帰を進めています。最も注目を集めたのは、Amazonのアンディ・ジャシーCEOが2025年1月から完全なオフィス勤務を導入する方針を発表したことです1。同社はフリーアドレス制も廃止し、固定デスクを再導入するという徹底ぶりを見せています。
その他のGAFAM企業も足並みを揃えており、グーグルは最低週3日のオフィス勤務を義務付け、出勤率を業績評価に反映させています2。アップルは週3日以上のオフィス勤務を義務付け、バッジの記録で出勤率を厳格に監視しているのが現状です2。
日本企業の追随:ハイブリッドからフル出社へ
日本でも海外企業の動きに追随する形で、リモートワーク制度の見直しが進んでいます。公益財団法人日本生産性本部の調査によれば、リモートワーク実施率は2020年5月の31.5%から2023年7月には15.5%まで低下しています2。実際に、ホンダ(本田技研工業)とGMOインターネットグループは原則的に週5日出社となり、リモートワークを完全に廃止しました2。
特に印象的だったのは、LINEヤフー社がフルリモートワーク制度の撤廃を宣言したことです11。これまでリモートワーク推進を積極的に打ち出していた企業の方針転換は、業界全体に大きな衝撃を与えました。
経営者が語る「表向きの理由」と実態
公式に語られる出社回帰の理由
企業が公式に発表している出社回帰の理由は、主に以下の4点に集約されます2:
生産性向上とイノベーション創出: 偶然の会話や対面での意見交換から生まれるイノベーションの価値が再評価されており、企業は「オフィス」という物理的な場を重要な資産と捉える傾向があります1。
コミュニケーション不足の解消: リモートワークでは社内での気軽な相談・報告が難しく、チーム間の連携に課題があるとされています2。
企業文化の維持: 対面でのコミュニケーションが企業文化の醸成や新人研修に重要な役割を果たすという認識が広がっています3。
人事評価の適正化: リモートワークでは従業員の成果を適切に評価することが困難であるという課題が指摘されています2。
経営者の本音:生産性への懸念
しかし、経営者との直接的な対話を通じて見えてくる本音は、より率直なものです。ある調査によると、経営者は**「リモートにして明らかに生産性が落ちている。サボっている人がいるのは確か。チームで行う業務では対面での会話がベター」**と口を揃えて語っています11。
コロナによるリモートワークが始まって早5年ほどが経過し、リモートワークによる中だるみやマンネリ化がもたらす生産性減少が、出社回帰の決め手となっているのが実情です11。
隠された真の狙い:「静かなリストラ」戦略
テレワーク廃止がもたらす実質的な退職強要
企業がテレワークを廃止することには、実質的に「自主的な退職を促す」効果があると考えられます10。この現象は、以下のような複数の要因によって引き起こされます。
通勤負担の増加: 長時間通勤が再び必要になると、特に遠方に住む社員や家庭との両立を考えている社員にとっては大きな負担になります10。これを機に転職を考える人も増加する傾向があります。
ワークライフバランスの悪化: テレワークによって得られた時間的余裕(通勤時間の削減・柔軟な働き方)がなくなることで、仕事とプライベートのバランスが崩れ、辞める決断をする人も出てきます10。
企業文化・価値観の不一致: 「成果よりも出社を重視する会社なのか?」と感じる社員が増え、柔軟な働き方を求める人が他社に移る可能性があります10。
郊外移住組への特別な影響
特に深刻な影響を受けるのが、リモートワークを前提に郊外に住宅を購入した労働者です。実際、2020~2021年には東京都23区から他県への転出者数が転入を上回り、特に転出先は埼玉・千葉・神奈川・茨城など関東近郊の県が大半を占めました5。
これらの労働者の多くは、東京まで無理なく通える範囲で郊外に住むケースが増えていましたが5、完全出社への回帰により、現実的な選択肢は限られてしまいます。住宅を取得した場合は50万円、アパート等の賃貸物件を借りた場合5万円といった移住支援制度を活用して郊外に移った人々にとって6、再度の住居変更は経済的にも困難な状況です。
黒字リストラとの類似性
この状況は、近年注目されている「黒字リストラ」と本質的に類似しています。黒字リストラとは、好業績であっても将来的なリスクを見越して、組織をリストラクチャリング(再構築)することを指します7。
2019年は過去に例を見ないほどの「黒字リストラ」が行われた年で、早期・希望退職者を募集した上場企業35社のうち、57%にあたる20社の通期最終損益が黒字だったと報告されています7。
リモートワーク廃止による「自然退職」は、直接的なリストラではなくても、「自発的な退職」を促し、企業が望む人材のみを残すための戦略的な動きである可能性が高いと考えられます10。
リモートワーク廃止の本音を見ると、リモートワークという働き方がオワコン化したのではなく、リモートワークという働き方には課題はあるにはあるけれど、過度に問題点のみをクローズアップし、黒字リストラの隠れ蓑にされていることが多いです。
生産性に一定の課題はあるにはあるけど(もちろん全員というわけではなくリモートワークでより生産性が上がる従業員と下がる従業員に二極化する傾向があります。特にエンジニアという職種においては。)
そのデメリットを差し引いても、優秀な人材を採用しやすくなるという効果の方が大きいというのが個人的印象です。特にエンジニア職は優秀で自己管理が得意な人ほどリモートワークを好む傾向にあるという感触です。
経営層は右へ倣えで周りの真似をするのではなく、自分自身でメリット、デメリットを冷静に考えて決断を下すことが大切です。
「静かな退職」現象との関連性
静かな退職者の増加傾向
一方で、労働者側にも変化が見られています。「静かな退職」と呼ばれる現象が注目を集めており、これは必要最低限の業務のみをこなす働き方のことで、会社を辞めるわけではありません8。
「静かな退職者に関する調査 2025年」によると、2024年1月は2.4%で、2024年12月は2.8%で、実践者の割合が増加したことがわかっています8。年代別では、25歳〜29歳、40歳〜44歳の伸びが大きく、若い世代とミドル世代で実践者が増加している傾向があります8。
合理的な働き方としての再評価
雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏は、静かな退職について**「よく勘違いされるのが『ぐうたら社員』や『しがみ付き社員』という人たちと同じにされるが、全く違う。端的に言えば『無駄な仕事(業務)をやめればいいんじゃないか』『無駄な仕事はしません』ということ」**と説明しています8。
この現象は、会社側と働く側の双方にとって合理的である可能性があります。静かな退職者には無理難題は投げられず、優秀な人はバリバリ働き続けて差がついて当たり前。つまり彼らは働かなくていいけど、給料も上がらないという明確な役割分担が生まれます8。
企業と労働者の今後の対応策
企業側の戦略的選択
現在、企業は大きく二つの派閥に分かれています11:
出社回帰派: 昨今の動きを見て「出社回帰の流れもあるので、うちもこの際出社に戻そう」と考える企業群です。
独自性維持派: 「フルリモートを続けて独自性を維持したい」と考える企業群で、主にフェーズの浅いスタートアップに多い傾向があります11。スタートアップ企業でないとしてもあえてフルリモートを前面に打ち出し採用を行うと大量に優秀なエンジニアを採用できる可能性が高いといえます。DXに力を入れたい企業にとってはある意味大きなチャンスと言えるかもしれません。
労働者側の対応選択肢
労働者にとっては、自社が出社回帰する度に、フルリモート企業へ移っていくことは不可能ではありません11。しかし、フルリモート企業が絶滅することもないとは言え、選択肢は徐々に狭まっている状況です11。
特に郊外移住を行った労働者にとっては、以下のような対応が考えられます:
通勤可能範囲での妥協: 週数回の出社であれば許容できる範囲での働き方を模索する。
完全リモート企業への転職: 限られた選択肢の中から、リモートワークを維持している企業を探す。
独立・フリーランス化: 雇用関係から脱却し、場所に縛られない働き方を選択する。
まとめ:変化する働き方の中での戦略的思考
リモートワーク廃止の動きは、表面的には「生産性向上」や「コミュニケーション強化」を謳っていますが、その背景には企業が望む人材構成の最適化という戦略的意図が存在している可能性が高いと考えられます。
特に、郊外移住を行った労働者にとっては、実質的な退職勧奨に近い効果をもたらしており、これは新しい形の「静かなリストラ」と捉えることができるでしょう。
今後の働き方を考える上では、企業側・労働者側双方が、この変化を単なる制度変更ではなく、労働市場における戦略的な動きとして理解し、適切な対応策を検討することが重要です。労働者にとっては、自身のキャリア戦略と生活設計を総合的に見直す機会として、この変化に向き合っていく必要があるでしょう。